コラム

封虎:定年後再雇用に関する法令動向

2025-08-19
これまで、定年後再雇用者の雇用形態は、労務契約と規定されていたため、定年後再雇用者は、20%~40%の労務報酬税金を納付しなければならなかったし、また、労災保険を加入できず(一部地方では加入可)労災保険補償を受給できない場合もありました。少子高齢化の深刻化に伴い、定年後再雇用者の就労が一層進むが予測される中、特定職場環境の改善が求められています。
7月31日、「最高人民裁判所による労働紛争案件の審理について法律適用に関する問題の解釈(二)」(2025年9月1日施行)(以下は司法解釈(二)という)、および人的資源・社会保障部による「高齢労働者の基本的権益保障に関する暫定規定(意見募集稿)」(以下は意見募集稿という)が公布されました。今回は、関連内容および実務注意ポイントを紹介します。
1.司法解釈(二)
職場環境の改善は、法整備から始まらなければなりません。司法解釈(二)第21条は、労務契約と定める在来の法令条款を廃止しました。
では、労務契約でなくなると、労働契約となるのかということになるが、必ずしもそうではありません。
現場では、労災保険再加入の需要が多く、年金、医療、失業保険再加入という需要が少なく、また、定年前の労働契約者より、総人数が少ないため、特例として労働契約と異なる対応措置が望まれている現状を踏まえ、定年後再雇用者の雇用形態は、労働契約と労務契約の中間にある形態と理解することもできるのです。
2.意見募集稿
意見募集稿は、保険種別に社会保険再加入を詳細化しました。
労災保険について、事業者は保険費を負担し、再加入しなければならないとしました(第15条)。
年金と医療保険について、実情に応じ、異なる内容を規定しました。定年後再雇用者は、すでに待遇を享受し就労する場合、再加入することがなくても(原文では、再加入についての文言がなくて不明瞭であるが、立法本意や前後文の内容から、再加入する必要はないと解される)、待遇の変化はないとしました(第17条第1項、第18条第1項)。
定年後再雇用者は、加入年数不足等原因で待遇を享受できず、年金や医療保険の継続参加を選択する場合、個人で参加できるとしました。この際、事業者は、労働者のために保険費を納付する義務はなく、事業者の判断によるとしました(第17条第2項、第18条第2項)。
失業保険について、失業した場合、受給条件に適すれば、申請できるとしました(第19条)。
3.実務ポイント
事業者は、自社の定年退職者について、社会保険待遇の受給状況を把握できると思われるが、他社の定年退職者について、再雇用する際、社会保険の受給状況を確認する必要があります。
公衆意見募集は、8月31日までとなり、決定版の公布がその後になると予想されるので、今後の動向に注視する必要があります。